9月からGo Toトラベルが始まり10月には首都圏解禁,そしてGo Toイートと世間はそれなりに活況を取り戻しているようです。しかしそこで出てきたのが鳥貴族のGo To問題,個人的な感想で恐縮ながら,飲食店を応援するとう気持ちもなくポイント目当てで飲食店に迷惑をかける行動はいかがなものか,と腹立たしい心持がしました。ところがIT企業に勤務する長女に言わせると,そういった問題を排除できなかったシステム設計のミスなのではないか,とのこと,確かに物事は両面から見る必要があると反省した次第です。
ちなみに先日,筆者が仕事仲間と渋谷でGo Toイートした際は,レストランに入店した18:00の時点でフロアはほぼ満席,ところが1時間ほどして気が付くと客席はまばらになっていました。筆者たちのグループはいささかワインを飲み過ぎてひとり@7,000円も使ってしまったのですが,若者たちは@1,000円そこそこの利用で「はしご」をしているのだろう,ということに気が付きました。お店からすれば筆者たちのグループの利用形態がありがたいでしょうが,消費者からすれば「はしご」でGo Toのメリットを最大限享受するのが得策,ということでしょう。
ワタミの名前が消える?生き残り戦略
居酒屋苦戦が続く中,新御三家の一角であるワタミ(他はモンテローザ,コロワイド)が,ついに居酒屋和民の看板を下ろすこととなりました(日経MJ:2020/10/7:11P)。ここ数年,「三代目鳥メロ」や「ミライザカ」といった新ブランドへのスイッチを進め,昨今のコロナ禍の元ではテイクアウト業態の「唐揚げの天才」を急ピッチで店舗展開,そしてついて居酒屋和民を「焼肉の和民」へ転換することとなったようです。またテイクアウト唐揚げに併設して「唐揚げの天才酒場」も開発し展開するとのことで,ワタミは急ピッチで居酒屋体質の脱却を図っています(日経MJ:2020/10/26:13P)。
その他では,コロワイドの大戸屋に対するTOB成立をエポックメイキングな話題として,「塚田農場」エーピーカンパニーの定食屋への進出,三光マーケティングの居酒屋店舗のアイドルタイムスペース貸しなど,居酒屋をメインとする各社が生き残りをかけて様々な取り組みを行っています。
デリバリー戦国時代,プレイヤー続々と
コロナで外食市場が縮小する中,テイクアウトやデリバリーは急激に需要を拡大しています。その中で,デリバリーのラストワンマイルの担い手として料理宅配人が増えおり,飲食業界からの人材の流動が起こっているようです(日経朝刊:2020/10/10:7P)。現在4万人に急拡大した宅配要員はおおよそフリーランスの個人事業主であり,業務環境や契約形態にかかわる法整備が待たれるところです。
デリバリーサービス事業者は出前館とウーバーイーツの2強状態でしたが,ここにきて急拡大する市場への新規参入事業者が続々と登場しています。北欧発の「ウォルト」,ドイツ発の「デリバリー・ヒーロー」,menuやチョンピーなど国内のスタートアップ勢などが,目立っています(日経MJ:2020/10/23)。また国土交通省は,タクシーの料理宅配を認可する特別措置法を10月以降も継続することとし(日経夕刊:2020/10/16:1P),宅配業界はまさに戦国時代の様相を呈しています。
モスバーガーに見る事業承継問題
京都出町柳にある「餃子の王将」は皿洗いをすれば一食タダでご飯を食べさせてもらえるというお金のない学生にはありがたいお店でしたが,FC本部との契約ではFCオーナーは70歳で定年ということになっており,惜しまれながら10月いっぱいで閉店しました。筆者も学士時代は何度かお世話になった「餃子の王将」,現在京都で大学生をしている次男が閉店前に食べに行ったそうで,やはり時代を感じざるを得ません。
このようにFC契約では,FC加盟者の高齢化により店舗の事業承継が困難になるという事態が増えてきており,円滑な事業承継と事業継続が大きな課題となっています。今月の日経新聞では,この事業承継に関する特集として,モスフードの取り組みが2回に亘り紹介されていました(日経朝刊:2020/10/21:15P,2020/10/28:12P)。モスフードでは,独立志向のある既存FC店舗の店長や社員を対象に「次世代オーナー育成研修」を実施,2015年からの4年間で109人が新しくFCオーナーとなりました。また独立を前提とした社員採用を行い,入社後3年間モスフードの直営店で運営を実地で学んだ後にFCオーナーとして独立するという,加盟前提型社員独立制度も整備しています。
FCに限らず事業承継は外食業界のひとつの課題でもあります。事業の担い手の高齢化が進む中,M&Aも手段の一つとしながら外食の火を消さない取り組みがますます重要になってきています。
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