兵どもが夢のあと,物議を醸した東京オリンピックは終わりました。その影響をどう見るのかは置いておくとして,コロナの感染拡大は収まる様子を見せません。我慢に我慢を重ねている外食業界も,我慢しているだけでは生き残れないので,何とかもがいて新しい手を打とうとしています。デイバリーやECサイトといった販路開拓もさることながら,DXをどのようにオペレーションとマネジメントに活かすかも重要なポイントになってきます。今回は,飲食に関わるDXについて,8月の記事からピックアップして解説しています。
コメダ,DXで店舗オペレーションを効率化(日経産業:2021/8/3:4P)
コロナ禍で顧客が非接触や非対面を望むことから各社DXの導入を図っているが,コメダHDはこれを機にDXでオペレーションの効率化を図る。顧客のスマホによる事前注文や予約だけでなく,決済と空席の情報を連動させて密を避けつつ席効率を上げるというように,DXを活用していく方針のようだ。密を避けるには席効率を落とさざるを得ないが,顧客誘導を円滑に行うことによりそれを補う意味での回転率向上に寄与することが期待できそうだ。
OKIとサブウェイ,AIが顧客の表情からメニュー提案(日経産業:2021/8/31:4P)
サブウェイとOKIが共同で,顧客の目線や表情をAIが読み取っておすすめメニューを提案する実験を始めた。サブウェイは野菜やトッピングなどを自分好みで選択できるところが魅力だが,慣れない顧客にとってはハードルとなることもある。サブウェイが日本に上陸した当時は,アメリカ流のカスタマイズ型のオーダーに顧客が慣れるのに時間がかかり,業績が伸び悩んだという反省がある。とまれ,OKIの表情を読み取る「感情AI」の真価が試されるところだ。
回転ずし,コンベアから特急レーンで非接触に(日経MJ:2021/8/4:2P)
もりもり寿司チェーン(野々山市)は,従来の回転コンベア型ではない特急レーン型の新店舗を開業する。すでに大手チェーンではコンベアとレーンの併設店舗が散見され,特急レーンは顧客に一定の評価を得ている。コロナ禍でコンベア上での滞留時間を気にする顧客への対応,また食材ロス削減の手段として,今後はレーン型単独店舗も増えてくるだろう。レーン機器メーカーによると,レーン型店舗は寿司だけでなく焼肉やラーメン業態にも広がっているということだ。
中小飲食店のPOSデータ分析をレジメーカーが支援(日経MJ:2021/8/4:2P)
NECは飲食店向けに顧客の利用履歴情報からおすすめメニューを提示するサービスを提供し,東芝テックはスーパー向けに顧客購買利益をもとに商品提案できるサービスを検討している。東芝テックは,既に飲食店向けに有償の専用アプリを提供しており,これにより顧客購買履歴をもとにしたワントゥワン・マーケティングが可能になる。いずれもPOSデータをCRMに活かす取り組みであり,データ活用の外部ネットワークは急速に広がりつつあるといえる。
飲食店開業希望者に商圏分析サービスを無償で提供
地図情報サービスのデータインサイト社が飲食店開業希望者に無料で商圏分析サービスを提供する。AIにより周辺家賃相場も割り出す機能もある。ちなみに本サービスは,開業希望者情報を関連業種に紹介することでマージンンを得るビジネスモデルだ。一昔前は商圏分析ソフトといえば高額で一般には手が出なかったが,近年では総務省統計局がリリースしている無償のGISソフトJ Stat Mapを活用すれば高度な商圏分析も可能であり有益なツールなので普及が望まれる。
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