好調な「肉」業態のトレンドは続くのか?

日本人の食習慣は変わってしまったのかと思うくらいに,肉業態が好調です。外食企業の2018年2月度売上高(日本フードサービス協会発表)の前年同月比は,ファーストフード4.5%増,ファミリーレストラン2.2%増,中華料理5.6%増,パブ・居酒屋3.4%減に較べて,焼肉業態は9.5%増となり15カ月連続で前年を上回りました(日経MJ:2018/3/28:P13)。焼肉だけではない肉業態のトレンドを,2月のニュースからピックアップしてみました。

焼肉「牛繁」を展開する牛繁ドリームシステム(東京・新宿)は,「ニクバルダカラ」を運営するAJドリームクリエイト(名古屋市)と提携し,「肉バル」業態に参入します。「ニクバルダカラ」は若い女性や会社員をターゲットとした肉とワインを提供する洋風バルで,同社は首都圏での積極出店を企図しています(日経MJ:2018/3/21:P11)。ラーメンチェーンの「ハチバン」(金沢市)は,「ペッパーランチ」にFC加盟し,外食ステーキ市場に参入します。同時に同社は「ペッパーランチ」の持つ海外展開ノウハウを自社戦略に活かすとしています(日経MJ:2018/3/30:P15)

牛肉だけではなく豚肉業態も動きが活発です。「牛タンねぎし」のねぎしフードサービス(東京・新宿)は,2017年12月に開店した豚肉料理店「ポークポークポークねぎポ」が堅調,多店舗展開を始めます。背景には牛タンの原料価格高騰があり,リスク分散のための新業態開発といえるでしょう(日経MJ:2018/3/23:P15)。リンガーハットはフードコート向けの低価格とんかつ店「とんかつ大学」の多店舗化を計画しています。同社は客単価1,500円程度のとんかつ店「浜勝」を展開していますが,アークランドの「かつや」や松屋フーズの「松のや」などの低価格とんかつ店に顧客が流れていると分析し,今回の低価格とんかつ店の開発となった模様です(日経MJ:2018/3/30:P15)。

その他,3月のニュースで筆者が注目したのは,UCCの「珈琲館」売却でした。同社は自社ブランド「上島珈琲館」に経営資源を集中する方針で,「珈琲館」チェーンを外資ファンドのロングリーチグループに譲渡する旨の合意が成立しました。2008年にUCCグループに入った「珈琲館」は全国に約300店,コーヒー価格500円弱と競合に対してやや高めの業態です。チェーンの大半がFCオーナーでUCCの傘下になる以前からの加盟者も多く,高齢化や事業承継も気になるところです。また,コーヒー業界はコンビニカフェや郊外型コーヒー店の伸長などで競争は激化しています。ロングリーチグループはウェンディーズやファーストキッチンの経営立て直しをしたことでも有名であり,その手腕に興味をひかれます(日経朝刊:2018/3/8:P16)。

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