未曽有のコロナ禍を外食チェーンはどう凌ぐのか

なんとか2月を乗り切った外食チェーンも足元で業績が悪化しており,コロナ禍の影響が日増しに深刻度を増しています。当然ですが筆者のクライアントには外食チェーンや食品製造企業が多く,その例外ではありません。関東圏に展開する焼肉チェーンの2月売上は前年超でしたが3月後半から売上半減,東京東部に展開する喫茶チェーンは稼ぎ時の花見需要を取り込めず売上半減,関西方面でビュッフェレストランを展開している企業はビュッフェを停止せざるを得なくなり苦戦,業務用比率が高かった食品製造業は3割程度の売上減など,惨憺たる状況となっています。

足下の外食業界の状況

日本フードサービス協会の発表によると,2月はうるう年の関係もあり前年同月比をプラスで乗り切ったものの,政府の「外出自粛要請」などにより2月末から「深刻な状況」に陥っているチェーンも多いということです。業態でいうと居酒屋,地域でいうと「緊急事態宣言」が発令された北海道での落ち込みが激しく,例年の歓送迎会の需要が取り込めない状況となっています(日経MJ:2020/3/27:14P)。
また同協会会長の高岡慎一郎氏は,「都心店舗,中でも高単価,接待,インバウンド需要の多い店舗の影響が大きい。ファストフードは立地によって差が出ていて,郊外型の商業施設内店舗などは想定的にみると落ち込み幅は大きくないようだ。」とコメントしています。そして「比較的余裕のある企業でも手元の運転資金は2~3ヶ月というところ,この不況が長引けば影響は大きくなる,助成金などの詮索を早く実行してほしい」と,資金繰りについても言及しています(日経朝刊:2020/3/31:17P)。

政府による緊急対策

政府は令和2年3月10日に「新型コロナウィルス感染症に関する緊急対応策第2弾」として,信用保証協会によるセーフティネット保証4号・5号を発令しました。セーフティネット保証は「東日本大震災」時にも活用された制度で,その際に認定窓口である各自治体には長蛇の列ができていましたが,今回もそのような状況のようです。
そして政府は,収入が急減した企業などの税金と社会保険料の支払いを1年間猶予する特例制度を創設することとなりました。これは令和2年2月以降で売上が大幅に下がった企業については,法人税だけではなく消費税や社会保険料も含めておよそ全ての税金の支払いを原則1年猶予するというもので,前例のない措置となっています(日経朝刊:2020/3/28:1P)。猶予ではなく免除であればまさに「令和の徳政令」なのですが,それでも少しは息の付けるところかと思います。

気を吐く外食企業

そのような厳しい環境下でも,気を吐く企業はあります。テイクアウトやデリバリーの需要が伸びており,LINEとの資本提携を発表した「出前館」は,3/37の株価が上昇しストップ高となりました。業績の拡大期待から個人投資家を中心に買いが膨らんだ模様です(日経夕刊:2020/3/30:7P)。
居酒屋チェーン「博多劇場」を展開する「一家ダイニングプロジェクト」は,コロナ禍で足元は影響を受けているものの,他の居酒屋チェーンが苦戦する中で好調に推移しているようです。効率化を進める多チェーンの逆張りで「日本一のおもてなし集団」として,人と人との接点を大切にするサービスを提供して差別化を図っています。同社は3/11に東商マザーズから東証1部に昇格しました(日経MJ:2020/3/30:3P)。
すし居酒屋「や台ずし」を展開する「ヨシックス」は外国人正社員の採用を本格化します。ここ数年で1,100名の正社員のうち20%程度の200人を外国人正社員とする構想です。ヨシックスもコロナの影響で足元の業績は落ちていますが,将来の成長戦略のために安定した人材確保を行い,経営環境の不透明感の中で経営資源を居酒屋業態に集中しリスク回避していく方針のようです(日経地方:2020/3/28:中部経済)。

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