人手不足の外食業界における24時間営業のゆくえ

 「2月は逃げる」よろしく,あっという間の1ヶ月でした。フランチャイズ業界ではコンビニの24時間営業の是非が話題となりましたが,働き手不足で苦労する外食業界においても,年中無休や深夜営業を止めるチェーンが出始めています。
 ところで,2月の日経新聞に「ニューエコノミー」という特集連載があり,その中でモノの生産と付加価値創造を基準とした資本主義経済が瓦解し,情報と時間が価値を持つ新しい経済が始まっている,ということが述べられていました。お金を稼ぐことよりも有意義な時間を過ごすことに価値を置くという,働き方のパラダイムシフトが起こっていることを環境変化として受け入れなければ,外食チェーンも生き残ってはいけないでしょう。

 競争が激しく人件費上昇を価格に転嫁できない外食業界は利益が圧迫されています。「未曽有の人手不足」と嘆く吉野家は18年3~11月期の営業損益が赤字に転落。すかいらーくやリンガーハットも人件費の増加が響いて2018年度の業績予想を下方修正しています(日経朝刊:2019/2/17:P7)。
 そのような厳しい流れの中,木曽路はGW明けの5月7,8日の2日間を一斉休業するそうです。今年は皇位継承に伴う10連休が5月6日まで続き各店での混雑が予想されており,繁忙期にスタッフのシフトを厚めにして一斉休業によりスタッフの休暇取得を推進する方針です(日経MJ:2019/2/25:P13)。
 営業時間の見直しで先行するロイヤルHDは,220店あるロイヤルホストの時短営業を進め,24時間営業の店は2017年でなくなりました(日経朝刊:2019/2/28:P19)。営業時間を大きく変更していない吉野家などの収益が悪化していることを見ると,時短営業や一斉休業への取り組みは不可避なのではないかと思います。

 その他,2月の新聞紙上で気になった記事は次の通りです。ロングリーチの傘下となった「珈琲館」の業態再構築が始まります。禁煙店舗を増やし店舗環境を改善して居心地の良さを打ち出す方針のようです。2019年に20店舗を新規出店する方針です(日経MJ:2019/2/6:P13)。クリレスHDは「銀座木屋」などを運営する木屋フーズを買収しうどん・そば業態を強化する考え(日経MJ:2019/2/4:P13),フジオフードシステムは沖縄のステーキレストランを8店舗展開する「サムズグループ」を27億円で買収(日経MJ:2019/2/27:P15),肉汁餃子のダンダンダン酒場を運営するナッティースワンキー(年商29億円,2018年6月期)が3月28日に東証マザーズに上場(日経MJ:2019/2/27:P15),ペッパーフードサービスは「いきなり!ステーキ」のNY進出が不首尾に終わり25億円の損失を計上して2018年12月期の連結決算で最終利益が1億円の赤字となった(日経朝刊:2019/2/15:P21),といったところでしょうか。

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